便移植療法

最近ちょっと変わった治療法「便移植療法」なるものが、順天堂大学、千葉大学、慶応義塾大学、滋賀医科大学で臨床試験が行われています。

他人の便を腸内に注入して腸内環境を整えることで、潰瘍性大腸炎などの新治療法として期待されています。

便移植療法とはどんなものか、ドナーになるのは2親等以内と配偶者に限り、様々な検査をパスした健康な便を生理的食塩水で溶き、フィルターで濾過したものを患者の腸内に注入します。
日本では2014年から臨床試験が行われ、順天堂大学では1ヶ月間で4分の3の人に症状の改善が観られたそうです。
潰瘍性大腸炎の患者は腸内細菌の数が少なく、ある菌だけが突出して多いなどバランスが良くないです。
そこで健康な人の便を移植することで腸内細菌叢を整え健康な腸を取り戻すと考えられています。

潰瘍性大腸炎の他に過敏性腸症候群、腸管ベーチェット病、偽膜性大腸炎も対象で、多くの患者さんの役に立つと期待されています。
(2015年12月16日報知新聞)

これは人間単体で存在しているのではないという事が、改めて実感できる好例ではないでしょうか。
人間の存在を考えた時その境界線は曖昧で、腸内細菌は人間ではないですが居なくては生きていけない存在ですので、同体あると考えられなくもありません。

腸内細菌だけではなく、人間は様々な「外」との関係性を保ちながら生きているオープンな存在です。

生物多様性の法則が周りに存在するように人間の中にも同様に存在し、そしてそのバランスが取れた状態が環境が良いと言い、人間では健康と表現することを考えてみると、人間の内部も外部も同じ法則で成り立っており一続きの存在だと感じます。

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